【 最新の更新日は 2022年4月5日です 】
AMMとはAutomated market makersの略です。
まずは、伝統金融を例に比較したいと思います。
これまでの伝統的金融の場合は、オーダーブック形式一般的です。
伝統金融の代表的なもので株取引があります。
株の取引では板取引といって、買いたい人と売りたい人が売買をして売値と買値の値段が合致したところで取引が完了します。
例えば、Aさんがソフトバンクの株を1100円で売りたかったとします。
でも、Bさんはソフトバンクの株を1000円で買いたいとします。
これだと取引が成立しませんよね。
なので、Aさんは、じゃあ、しかたないから、ソフトバンクの株を1050円で売ろう。
Bさんも、じゃあ、しかたないからソフトバンクの株を1050円で買おう。
ということで、お互いの言い値が合致することで取引が成立します。
これがオーダーブック形式です。
日本では、「板取引」と言います。
これは、人と人とが1対1で行う取引です。
では、これを暗号資産の分野で行うとなるとどうなるでしょうか?
実は、これを暗号資産の取引で行うのは問題がありました。
なぜなら、暗号資産というのは高度な暗号のやり取りなので、1つ1つの取引の処理にとても時間がかかるからです。
株取引の場合は、証券会社が瞬時に取引を完了させるシステムでどんどん処理をしていきますが、暗号資産の場合はそうはいきません。
暗号資産の良さは、ブロックチェーン技術を使った信頼性です。
その代わり、どうしても処理に時間がかかってしまい、処理そのものにも多くのコストがかかってしまいます。
これをガス代と言います。
決済手数料のようなものだと思ってもらうとわかりやすいと思います。
このように大きな制約があることでオーダーブック形式の取引が不向きな状態でした。
そこで、新しいシステムとしてAMMという自律的に機能するマーケットメーカーが考え出されました。
このシステムによって、DEXが世界中で利用されるようになっていきます。
AMMの仕組みの詳細
AMMは非常に画期的な自動システムになっています。
ベースになっているのはスマートコントラクトの技術です。
例えば、あなたが1ETHと50OMGを持っていたとします。(OMGという暗号資産です)
この2つを仮に同じ価値だと考えてください。
1ETHが30万円だとしたら、50OMGも30万円です。
そこで、この2つの通貨が同じ価値になるようにETHを10、OMGを500で預けます。
10:500
です。
この2つの通貨を同じ価値としてUniswapにプールします。
このように、2種類の通貨を1:1の同じ価値でプールすることを流動性プール(LP)と言います。
![](https://toushiore.com/wp-content/uploads/2021/09/HiHw6xL-1024x586.png)
詳しい詳細は、上記のサイトを参照するとわかりますが、ここから簡単に説明します。
まずは、あなたは、10ETHと500OMGをプールしました。
そこで、Aさん(上図のBuyer)が1ETHを持っていて、それをOMGに変えたいと思っているとします。
ここで、AMMの考え方としてとても大事な考え方があります。
「ETHの総量とOMGの総量をかけた量を不変量とする」
ということです。
上図でいうところの、5000は不変量(Invariant)、つまり変わらないことにするという意味です。
この計算式は、
10ETH*500OMG=5000
ということになります。
あなたが、あずけた、1ETHと500OMGを掛け合わせて、不変量5000になったということです。
そして、これを管理します。
さて、このことを頭に入れて、さきほどのAさん(Buyer)が1ETHを交換したいという話を思い出してください。
ここで、Aさんは、あなたの流動性プール(LP)に1ETHを持ち込んできたことになります。
すると、さきほどは、10ETHだったものが、11ETHになりましたよね。
ということは、不変量5000を変更しないためには、次の計算が必要になります。
不変量5000/ETH11=OMG454.5
です。
ということは、もともとOMGは500あったわけですから、
500-454.5=45.5OMG
になったということです。
ということは、もともと1ETHに対して50OMGだった価値が変わりました。
1:50→1:45.5
になっていますよね。
ということは、OMGの価値が上がっているということになります。
これまで、1ETHに対して50OMGが必要だったものが、45.5OMGで良くなったわけですからOMGの価値が上がっていますよね。
少ないOMGで1ETHを手に入れられるという考え方です。
(ちなみに本来は手数料が差し引かれますが話をわかりやすくするために省いています。)
これを、ずっと繰り返していくことで、OMGの価値はどんどん上がっていくのがわかると思います。
つまり、これによって、OMGを欲しいと思う人が増えれば増えるほどOMGの価値は上がっていくという自然なシステムを導入することができたということになります。
このような画期的な仕組みができたことで、DEXは成功しました。
オーダーブック形式は、1対1のピア2ピア取引でした。
でも、DEXは人とスマートコントラクトが自動で行う取引です。
つまり、人は流動性プール(LP)と取引をしているということになります。
これによって、必要最低限の取引量でよくなり、暗号資産の取引が成立しづらいという問題を解決することに成功してDEXは大きく広がっていきました。
実際にUniswapの流動性プールをこちらのサイトで確認することができます。
ちなみに、流動性という言葉の概念はとても大事なので覚えておいてください。
流動性というのは、市場で流通している暗号資産の総量のことです。
ある程度の流動性がないと、市場は活発になりませんから、流動性を担保する仕組みとして、AMMはとても重要な働きをしているということです。